引用する際は著作権侵害に気をつけて

公開日:2013年3月29日
 最終更新日:2013年11月2日

著作権を侵害すると・・・

あなたが自分のサイトにコピペした文章や写真が、著作権を侵害しているかもしれません。著作権法違反の場合の罰則は、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金です。民事の場合は、損害賠償を請求されます。何気ないコピペから罰金や損害賠償請求に発展したら、大ショックですよね。しかし、著作権に配慮した形での引用は問題ありません。引用の方法について、調べました。

まとめ

調べてみるとボリュームが多くなりましたので、先にまとめます。

  • 目的に必要な範囲のみを引用する。
  • 質・量ともに自分の文章が主であり、引用部分が従であること。
  • 引用部分であることははっきり示す。
  • 引用の出所(ソース)を示す。

詳しく知りたい方は、下を一読して下さい。

サイトを作る上で関係する著作物

著作権の範囲と内容については、著作権法で定められています。著作権法において著作物は、下のように定められています。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

サイトを作る上で関係する著作物としては、「記事」、「小説」、「論文」、「写真」、「絵画」、「音楽」、「動画」あたりが思い当たります。新聞、雑誌、テレビ、他サイト等からこれらの著作物を、単純に自分のサイトにコピペする場合、著作権を侵害することになるかもしれません。

引用の場合は著作物の利用が可能

一切、著作物の利用が出来ないわけではありません。著作権法第32条には、「引用して利用することができる」とあります。しかし、もうちょっと具体的に引用の条件が知りたいですね。

(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

引用の条件

文化庁のテキストが解説している

文化庁の著作権テキスト~はじめて学ぶ人のために~平成24年度(PDF)という資料の71ページに、『著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合』として、引用の条件を示しています。

ア 「引用」 (第32条第1項)

他人の主張や資料等を「引用」する場合の例外です。

【条件】

1 既に公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること
3 報道、批評、研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
6 引用を行う「必然性」があること
7 「出所の明示」(75頁(注)参照)が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

1 既に公表されている著作物であること とは

この項目は気にする必要のないと思います。公表されてない著作物は、引用できませんし。仮にあなたが他人の公表前の著作物を知り得る立場にいても、勝手に公表してはいけません。

2 「公正な慣行」に合致すること

文化庁の著作権なるほど質問箱に、「公正な慣行」についての解説が掲載されています。

Q 引用が認められる条件として、著作権法では「公正な慣行に合致」することと、「引用の目的上正当な範囲内」で行われることとの2つが挙げられていますが、「公正な慣行」や「正当な範囲」とは、具体的にはどのようなものですか。

A 「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに利用することができます(第32条)。

この法律の要件の中に、「公正な慣行に合致」や「引用の目的上正当な範囲内」のような要件があるのですが、最高裁判決(写真パロディ事件第1次上告審 昭和55.3.28)を含む多数の判例によって、広く受け入れられている実務的な判断基準が示されています。

例えば、[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性が該当します。

要は、著作権テキストに示されている引用の条件である1、2~7を守れということです。グルグル回っている気がします。

3 報道、批評、研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること とは

自分の文章表現(批評等)を補強するのに必要な範囲のみ、引用しましょう。無関係の箇所を掲載してはいけません。

4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること とは

自分の文章が、引用する文章に比べて量、質ともに主でなくてはいけません。ニュースサイトから記事をコピペして、自分のコメントが1行のみというのはマズイです。

5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること とは

このページでは引用部分の背景を灰色にして、自分の文章と区別しています。他にも引用部分を「」でくくって示す方法があります。

6 引用を行う「必然性」があること とは

何のために引用するのか考えましょう。例えば、他人の意見に対する自分の意見を表明するために、他人の意見を引用するのは必然性があります。

7 「出所の明示」が必要 とは

どこから引用したのか示しましょう。これは著作権法第48条に定められています。

(出所の明示)
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。

一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

二 第三十四条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二、第三十九条第一項、第四十条第一項若しくは第二項又は第四十七条の二の規定により著作物を利用する場合

三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。

2 前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。

3 第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して利用する場合には、前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなければならない。

最後に

再度まとめると、以下のとおりです。

  • 目的に必要な範囲のみを引用する。
  • 質・量ともに自分の文章が主であり、引用部分が従であること。
  • 引用部分であることははっきり示す。
  • 引用の出所(ソース)を示す。

「著作権侵害」のキーワードでニュース検索してみると、著作権侵害に関して裁判沙汰になっている事例が多く見つかります。あなたもくれぐれもご注意を。

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